◆環境 ・防災◆ 生分解性キレート剤で植物の生育を促進 | ||||
アルカリ性土壌では、鉄欠乏により植物の生育が著しく阻害されることが知られている。この対策として、鉄吸収を促進するEDTAのようなキレート剤が用いられているが、これは環境中に長期間残留するため、自然の物質循環を乱す可能性がある。そこで、本研究ではアミノ酸を骨格に持つ生分解性のキレート剤の使用を試みた。アルカリ性条件下で、かいわれ大根の成長に及ぼす影響について検討したところ、このキレート剤の添加で鉄の吸収が促進され、発芽率と成長率は中性条件と変わらないことが分かった。本キレート剤は、環境に優しい植物成長促進剤として広く普及するものと期待される。 | ||||
【P2050】 アルカリ土壌で生育する植物の生育阻害に対するキレート剤の効果 (金沢大院自然)○長谷川 浩、齋藤圭太、奥村真子、牧 輝弥、上田一正 |
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植物の生長には鉄の吸収が必須であるが、pHの高いアルカリ性土壌では、鉄が水和酸化鉄として難溶性になるため、植物は鉄不足で成長不良になることが知られている。このようなアルカリ性土壌における鉄欠乏を解消し、鉄の吸収率を向上させる手法として、ヨーロッパ等における農耕ではEDTAの散布が実施されてきた。EDTA等のキレート剤は、難溶性の酸化鉄化合物を可溶性のキレート鉄化合物に変換するため、植物は鉄を吸収しやすくなる(図参照)。EDTAは、一般に洗剤や化粧品に使用されるなど、人体に対して直接的に大きな毒性を示すものではない。しかしながら、EDTAは極めて安定であることから、土壌や地下水に残留し、土壌粒子に含まれる金属化合物を溶かしてしまうなど、自然の循環過程を乱す可能性が報告されている。 |
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